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肥満者は太りにくく痩せやすい

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基礎代謝率の相対的な差は小さく(基礎代謝の個体差)、主観的な食事量の測定は客観的な測定と異なります(自己申告値の精度)。この事実は肥満者の『私は代謝が低いから痩せない。なぜなら少食なのに痩せないから』という主張に欠陥があることを示しています。

今回はその補足記事です。エネルギー消費量の観点において、肥満者は太る前と比較して《太りにくく痩せやすい》という周知の事実について説明したいと思います。

 
ウェブサービス基礎代謝量を計算したことがある人なら、体重が変数であることから体重が増えれば基礎代謝量も増えることを理解できると思います。つまり身体活動量に大差なければ、より太るにはより多いエネルギー摂取が必要になります。

仮に代謝率が低い個体(似た体型に関わらず基礎代謝量が平均より低いような個体)であっても、絶対的な総エネルギー消費量は非肥満時より肥満時の方が高くなるでしょう。では科学的な検証をみてみましょう。

Prenticeらの古い研究では13名の肥満者(平均身長163cm 体重87.9kg)と9名の非肥満者(平均身長161cm 体重57.5kg)を全身間接熱量計、二重標識水法を用いて1日の総消費エネルギーを測定しました[1]。

結果は肥満群は1日に28%多くエネルギーを消費しました(肥満群2445kcal/day 非肥満群1911kcal/d)。本研究では肥満者がエネルギーを節約する証拠は示されませんでした。

DeLanyらの研究では肥満度は代謝効率に影響せず、1日の総消費エネルギーは肥満度に比例して大きくなりました(活動量が低下しても)[2]。
・非肥満群(63.1±7.8kg):2404±95kcal/d
・Class Ⅰ(88.8±11.0kg):2857±102kcal/d
・Class Ⅱ(102.7±9.1kg):3017±84kcal/d
・Class Ⅲ(124.4±16.3kg):3244kcal±48kcal/d
代謝効率に影響しないとは被験者の安静時代謝”量”の違いは体組成の違いで説明がつき、被験者の安静時代謝”率”は類似していたことを意味しています。以上の2つの研究は記事『基礎代謝が低いと太る?』を裏付けてもいます。

以上、肥満者は非肥満の自分(あるいは他者)と比較したら《太りにくく痩せやすい》というお話でした。


■Reference

1. Prentice AM et al. High levels of energy expenditure in obese women. Br Med J (Clin Res Ed). 1986 Apr

2. DeLany JP et al. High energy expenditure masks low physical activity in obesity. Int J Obes (Lond). 2013 Jul